一柳慧音楽と短編映画
【プロフィール】 一柳氏は小林米作氏制作の科学映画の音楽も担当され、映像と音楽の総合芸術化にも貢献された。今回、一柳氏から小林作品の科学映画の音楽についてメッセージをいただいたのでご紹介する。 | |||
| このDVDに収められている映像は、一九六〇年代前半につくられたものである。それは私が七年間のニューヨーク滞在から東京へ帰国した直後の数年間にあたる。当時の私は、主に図形楽譜による実験的音楽を書いていたのだが、その私に小林米作氏は、自分の映画の音楽を担当するよう声を掛けて下さった。 小林氏の映像はそれ自体自立した作品として、時代の先端を映し出す思想に貫かれていた。特に当時としては初めての試みともいえる顕微鏡の特殊撮影による、ミクロの世界の徹底した考察に基づく撮影は圧巻である。私はその映像づくりのひたむきで真摯な姿勢に感動し、音楽の面で何とかそれに応えたいと思ってのぞんだことが、今まざまざと思い出される。 私にできることは、映像の内容に拮抗する音の世界を創ることであり、その点でこれら映像の中では、音楽も先端的手法を使っている。いろいろな楽器の特殊奏法、たとえばピアノなら内部奏法や、プリペアード・ピアノや、打楽器的扱いからピアノの音を電子的に変調したものなどを使っているが、それらは映像から触発された結果だったと言ってよいだろう。 映像の伴奏音楽なら、もう少し柔らかい質感の音楽を、今なら考えるかもしれないが、純粋な音楽作品を創るのと同じ態度で取り組んでいるところが、いかにも1960年代の文化や芸術が高揚しつつあった時期と呼応している感じが反映されている。 これらの映像が、東京シネマによって保存され、40数年ぶりにDVDとして復刻されることで、貴重な資料として多くの人に観賞される機会が提供されることを素直に喜びたい。 | |||
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