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メディア教育と科学映画


映像制作会社 magichour 代表:辻 淳
 

 メディア・リテラシーという言葉をご存知だろうか。メディアからの情報を読み解く力、情報を発信する力のことである。インターネットやモバイルなどの普及で、メディアの種類や発信者の数は格段に増え、さまざまな情報が錯綜する現在、メディア・リテラシーはより重要になってきた。欧米ではこれらの力を育てる「メディア教育」は80年代後半から始まっているが、日本でも「映像学習」「映像教育」といった、映像を使ったメディア教育が小学校の「総合的な学習の時間」等をあて、始まっている。それは、実際に映像を子どもたちに作らせることで、普段とは違った角度から映像を感じ、考えるというものだ。

私は、埼玉県川口市における映像学習に、インストラクターとして関わらせていただいて、3年目になる。20時間のカリキュラムのうち、10時間、講師として派遣されている。そういう中で、今の子どもがどう映像というものをとらえているか、常に観察し考えているのだが、大きな印象を言うなら、やはりテレビの影響が大きい。現在の、テロップや効果音を多用した、(悪く言えば)よく見なくても内容がわかるように作られた映像に慣れきっているという風に感じる。子どもたちは、映像を注意して見る、音を注意して聞くということからは遠ざかっているのだ。ただ、柔らかい脳の持ち主であるから、きっかけさえあれば、あっという間に学んでいく。

安価に、そして技術的にも簡単に、映像に前記のような表面的インパクトを持ち込めるようになった以上、これからの映像が以前のような比較的じっくり見せる映像に戻るということはないだろう。そんな中でもやはり、じっくり映像を見るという経験ができれば、映像を作るということに加え、有意義な学習ができるのではないかと思うのである。

迂遠な話になったが、それには映画、ことに科学映画がぴったりなのである。なぜならば、じっくり見ないことには分からないからである。何が映っているのかさえ、言葉がなければなかなかわからない。ただそれはインパクトがないということを意味しない。見る者は、これは何だ、と思わずにはいられないのだ。見たことがないものがそこにある。そして、何度か見るうちにわかる、という新しい経験をするだろう。

ぜひ、子どもたちには科学映画を見てほしいものであるが、もちろん、映像学習が有効なのは子どもに限ったことではない。科学映画は現在、我々大人でもほとんどの人が見たことがないものになってしまっている。それが高品位なデジタル映像となって甦るのだから、まずは純粋な愉しみとして触れてみてほしい。

 
 
 
 
 
 
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