日本の音風景100選から 広島・山口編4話

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教育自然東京シネマ新社

作品概要

制作:東京シネマ新社 企画:日本ビクター
1989年 カラー 37分25秒

(1)広島の平和の鐘
(2)千光寺驚音楼の鐘 8:9
(3)山口線のSL 17:49
(4)関門海峡の潮騒と汽笛 29:41

(1)広島の平和の鐘

平和記念公園は、本川と元安川とに挟まれた広い公園だ。この公園は原爆の爆心地に近かったため、壊滅した繁華街が戦後、平和を祈念する公園として生まれ変わったものである。

平和の鐘は公園内に3つある。1つは広島平和記念資料館東館に展示されており、1年に1度、広島に原爆が投下された8月6日の平和記念式典で打ち鳴らされる。

もう1つは原爆死没者慰霊碑北側にあり、訪れる人が自由に打ち鳴らせる。さらに3つ目の「平和の時計塔」の鐘(チャイム音)は、毎朝原爆投下時刻の8時15分に鳴る。

これら3つの鐘の音は、原爆でなくなられた人々の鎮魂と核兵器廃絶・恒久平和の願いを、世界に向けて伝えている
(残したい日本の音風景100選から)。

(2)千光寺驚音楼の鐘

千光寺の驚音楼は、急な坂の多い町、尾道市の千光寺山の中腹の崖にへばりつくように建つ。尾道のシンボル的な存在だ。

「音に名高い千光寺の鐘は 一里聞こえて二里響く」と言われるほど、遠く瀬戸の島じまにも聞こえたと伝えられる。今も毎夕6時、沈む夕日を背に鐘が鳴り響く。時計が一般的に普及するずっと以前から、鐘の音が1時間ごとに尾道の町の人々に時を告げていた。

現在では除夜の鐘としても有名で、ここで新年を迎える人も多い。千光寺は「古寺めぐりコース」にも組み込まれ、その鐘の音は、尾道を代表する音として親しまれている(残したい日本の音風景100選から)。

(3)山口線のSL

レトロな雰囲気の漂う、小郡駅1番線ホームを出発した"貴婦人"ことC571「SLやまぐち号」は、一路津和野を目指してひた走る。「シュッシュッポポ、シュッシュッポポ」。

昭和54年(1979年)に山口線に戻ってきた蒸気機関車は、大人にはノスタルジアを、子どもたちには夢を与え続けている。客席は1号車から5号車まで、展望車風・欧風・昭和風・大正風・明治風と、ロマンあふれる車両編成で好みの時代を選ぶことができる。

時折「ボオーッ」という懐かしい汽笛を響かせながら、約2時間ほどで全長63キロの旅を終え、700年の歴史を持つ城下町、津和野の駅へとすべり込んでいく。モクモクと白煙をあげて力強く走るさまは迫力があり、沿線各所は絶好の音風景だ(残したい日本の音100選から)。

(4)関門海峡の潮騒と汽笛

関門海峡は、本州西端の下関市と九州東北端の北九州市門司区に挟まれた海域で、瀬戸内海と日本海を結ぶ役割の水路のため、海上交通の要衝として知られている。

昔から"早鞆の瀬戸"といわれた関門橋の辺りは、幅わずか700m、瀬戸内海と日本海の干満の差によって潮流は激変し、特に潮流の速い所では時速16キロにもなる。その海峡を1日大小700隻余りの船が往き交い、激しい潮流の音の中で聞こえる汽笛の交錯は、まさに海峡の音色そのものといえる。

源平の命運を決した壇ノ浦の合戦の古戦場、宮本武蔵と佐々木小次郎の決闘した巌流島など、数々の歴史のドラマが繰り広げられたロマンあふれるこの海峡は、耳を澄ませば潮流と汽笛の中に往時のできごとがよみがえってくるようだ。



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