日本の音風景100選から 鹿児島・沖縄編4話

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教育自然東京シネマ新社

作品概要

制作:東京シネマ 企画:日本ビクター 1998年 カラー 41分46秒

(1)出水のツル          
(2)千頭川の渓流とトロッコ    08:58
(3)エイサー           21:31
(4)後良川周辺の亜熱帯林の生き物 31:38

(1)出水のツル

出水のツルは、毎年10月中旬ごろ出水平野(荒崎地区)に越冬のために渡来する約1万羽のナベヅル、マナヅルなどである。

渡来地の荒崎は干拓地ではあるが、周辺には人家も多く、警戒心の強いツルの大群をこのような人里近くで間近に見ることができるのは、世界でも珍しいことである。

渡来地のねぐらに集まるツルの群れの鳴き交わす様はまさに壮観で、また3~4羽の家族単位で、ねぐらと市内各所の餌場とを行き交う、その飛行するツルの姿と時折鳴くツルの声は、この地の冬の風物詩となっている。

出水のツルと渡来地は特別天然記念物の指定を受けており、またツルと共存するという市民の心が、長年ツルを保護しているのである。
(残したい日本の音風景100選)

(2)千頭川の渓流とトロッコ

屋久島は標高1935mの宮之浦岳をはじめ、洋上のアルプスといわれる急峻地形で、樹齢千年を越える屋久杉が林立する。
中でも樹齢7200年もの縄文杉の原生林をはじめとする極めて特殊な森林植生が、わが国初の世界遺産にも指定された。

屋久杉の山を流れる安房川とその支流の千頭川の渓流に絡まるように、屋久島森林鉄道の軌道がある。大正後期に敷設され、屋久島の森林開発の動脈として活躍したもの。70年を過ぎた今日も、土埋木の搬出と屋久島電工の発電所管理用として生き続けている。全国でも唯一、現役の森林鉄道だ。

シーンと静寂が漂う森の中、小さなトロッコ電車がガタンゴトンと音を立てて橋を渡る。のどかなトロッコと渓流の複合音は、屋久島ならではのものだ。(残したい日本の音風景)

(3)エイサー

エイサーは沖縄の旧盆に青年を中心として各地で踊られる、本土でいう盆踊りに相当するもの。旧暦7月15、16日の夜、集落の青年男女が祭りごとを行う広場に集まり、無病息災・家庭円満・子孫繁栄などを祈念し、エイサーが披露される。

先導役の酒持ち、そして旗持ち、大太鼓、パーランクー(小型の太鼓、バチで打つ)、踊り手、道化師の順で隊列を組んで入場。華やかな衣装を身にまとい「エイサー、エイサー、スリエイサー」と、はやし言葉を合唱しながら、三線やパーランクーのリズムとともに激しく体を動かしながら、勇ましく踊る姿は圧巻である。打楽器の音が心臓まで響いてくる。(日本の音風景から)

(4)後良川周辺の亜熱帯林の生き物

西表島は、石垣島の西方25キロ、島の90%が原生林で覆われていて日本最後の秘境ともいわれている。
特に島の東部、古見集落の近くを流れる後良川は河口にマングローブが広がり、その景観の美しさは島内でも指折りだ。

昼なお暗いジャングルには、サキシマスオウノキやサガリバナの群落など珍しい植物が見られ、イリオモテヤマネコをはじめ多種多様の生き物が、豊かな林で息づいている。

隣接する古見の集落からも、耳をすませば鳥や小動物たちの鳴き声を聞くことができる。これらの音は昔から流域の住民にとって、季節の訪れや天候の変化などを知る大切な情報源であった。

最近では生き物たちの声を季節の風物詩として楽しむために、訪れる人が増えている。(日本の音100選から)



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