種子の中の海 イチョウの精子と植物の生殖進化

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教育植物東京シネマ新社

受賞歴

第41回科学技術映像祭科学技術庁長官賞
第11回TEPIAハイテク・ビデオ・コンクール TEPIAグランプリ
第21回UNICAJA国際科学映画ビエンナーレ(スペイン・ロンダ)
最優秀学術映像賞

作品概要

製作・企画:東京シネマ新社 カラー 35分

イチョウは春、花粉を飛ばします。花粉が若いギンナンの内部に取り込まれると卵が作られ始めます。

それから約4カ月後、成長したギンナンの内部で卵は成熟します。花粉は花粉管を伸ばし、その中に精子を作ります。同じ頃、イチョウは種子(ギンナン)の中に精子が卵まで泳ぐ「海」を用意します。この「海」を泳いで、精子は卵と受精します。

コケ植物・シダ植物などの原始的な陸上植物は精子を放出し、外界の水に泳がせて受精します。被子植物などの高等な植物は「雄しべ」から「雌しべ」へ花粉を届けます。花粉は「雌しべ」の水分と養分を利用して花粉管を卵まで伸ばし、直接精細胞を卵へ届けます。

この2つの生殖方法を進化的につなぐのが、1896(明治29)年に発見されたイチョウ精子(平瀬作五郎)であり、ソテツ精子(池野成一郎)でした。植物は生殖の瞬間はダイナミックに動きます。しかし最もデリケートな時期でもあるので、生きている状態での観察は困難でした。

近年、日本の植物研究は、生きている状態での裸子植物の精子による受精と、被子植物の重複受精の観察・撮影を世界で初めて可能にしました。この作品では原始的な植物から高等な植物までの、生きている状態での生殖の有様を、段階を追って一覧し、陸上植物がたどってきた生殖方法の進化を考えます。

監修・学術指導

筑波大学生物科学系教授 理学博士 堀輝三

学術指導・協力

コケ・シダの受精:筑波大学生物科学系 講師理学博士 宮村新一
メソスティグマ:筑波大学生物科学系文部技官 理学博士 松永茂
シダの精子:筑波大学大学院博士課程 生物科学研究科 坂牛真司
イチョウの光学顕微鏡切片試料作成:
筑波大学研究協力部研究協力課技術専門職員 路川宗夫
被子植物トレニアの受精:
東京大学大学院理学研究科生物科学専攻教授 理学博士 黒岩常祥
助手 理学博士 東山哲也

映像資料提供

コレオカエテ:
アメリカ ウィスコンシン大学植物学教室 教授
リンダ・グラハム博士

シャジクモの精子:
オーストリアウィーン大学植物生理学研究室 教授
ワルター・G・ウール博士
ザルツブルク大学植物学研究室教授 オスカー・キーヤマイヤー博士
ドイツ国立科学映画研究所(IWF)

協力機関・施設

東京大学理学部付属小石川植物園

スタッフ

演出:鈴木由紀
撮影:谷口常也
選曲:山崎宏
解説:遠藤みやこ
製作:岡田一男



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