「ばさら」の時代

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芸術・祭り・神事・体育ヨネ・プロダクション

受賞歴

芸術文化振興資金、文部省選定、優秀映画鑑賞会推薦

作品概要

企画製作:ヨネ・プロダクション 2003年 カラー 13分 

鎌倉幕府が倒れ、南北朝の動乱が始まった時代は歴史の大きな転換点となった。政治・社会・文化の全般にわたって、きわめてドラマチックな変化が起きたのである。「太平記」もまさにこの時代の物語である。

この時、婆娑羅(ばさら)の風潮が一世を風靡した。常人とは異なる衣装、振舞で耳目を集め、奇抜な生き方をしようという流儀である。能・華・茶の文化も、この婆娑羅のなかで原型を作り上げた。

この映画は、当時の絵巻物・屏風絵・文書・史跡、さらに幻想的シーンなどによって、この時代の風俗・出来事を描き、スクリーン上に婆娑羅のドラマを甦らせる。これは現代人の感性の源流を訪ねる試みともなるだろう。

プロット

映画はまず、婆娑羅の嵐が吹き抜けた、南北朝動乱期の時代背景を提示する。14世紀前半、中世に至るまで、京都は公家と武士ばかりが目立つ都であったが、この時代になると庶民によって賑わう都会となる。全国から物と人が流入し商業が起こった。

活気のある庶民生活の中にさまざまな職業が現れ、商人・職人・芸人がプロとして独立した生業の道を開き始める。身分・階層に縛られていた服装の規制が崩れ、より実用的で自己主張のはっきりした服装が現れる。

中でも婆娑羅と呼ばれた人々の異様な風体が目を引いた。彼らは異類異形(いるいいぎょう)と呼ばれ、悪党と呼ばれた人々と同類であった。常人とは異なることを誇示するかのごとき衣装が婆娑羅であり、その生き方が婆娑羅であった。

婆娑羅は南北朝の権力争奪戦の荒波の中で、実際に戦況を動かす勢力でもあった。

後醍醐天皇が鎌倉幕府から権力を奪い、また足利幕府に奪い返されるというドラマの中で、悪党と呼ばれた勢力が、楠正成のように常識外れのゲリラ戦で名を馳せ、身分はずれの振舞で婆娑羅大名と呼ばれた佐々木道誉のような武将が、縦横の働きをした。

後醍醐天皇も足利尊氏も悪党を最大限に利用したばかりか、自身も婆娑羅の風に染まっていたのである。

映画は、この権力争奪のドラマを物語として追いながら、一方、人々の生活・風俗・行事を綿密に探り出し、現代人の共感を誘い出す。沸騰する時代にふさわしいエネルギッシュな美学がここにある。そして、南北朝の動乱が室町幕府の秩序へと収斂する中で、この美学も次第に変容し、洗練されていく。

こうして婆娑羅の嵐が中世を吹き抜ける。
だが、その伝統は「傾く→かぶく→歌舞伎」につながり、日光東照宮のバロックに通ずる。茶道・華道・能・狂言に命脈を保ち、我々の美意識に大きな影を投げかけている。

婆娑羅の残照を、水面に映る金閣寺の金色の波がシンボライズして、映画「婆娑羅」の幕がおりる。

制作協力

吉甚

協力

石山寺、知恩院、念仏寺、鹿苑寺、蓮華寺、勝楽寺、清涼寺、笠置寺、
歓喜光寺、清浄光寺、如意輪寺、真正極楽寺、東京国立博物館、
埼玉県立博物館、米沢市教育委員会、MOA美術館、文化庁

スタッフ

製作:牧茂治
協力:吉田憲一
脚本・演出:大沼鉄郎、小林正、鈴木啓文、森吉美、加藤俊樹
撮影:坂本譲、船越光洋、西山文夫、五木田正成
選曲・音響:甲藤勇
ナレーション:篠原明美
タイミング:金子洋一
ネガ編集:北原安子
タイトル:菁映社
録音:東京テレビセンター
現像:IMAGICA、Eastman Kodak Company

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