ラット肋軟骨成長軟骨細胞の分離培養法とその内軟骨性骨形成

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医学・医療その他

作品概要

企画・製作:大阪大学歯学部生化学教室 撮影:サクラ映画社 
1982年 カラー 11分4秒

本作品は参考文献に示した方法によって軟骨細胞の分離・培養方法のデモンストレーションを示した。さらに、培養軟骨細胞を回収して、軟骨組織の形成と骨への置換を検証する方法を映像化したものである。(開祐司氏)

作品内容

1)
まずラットから無菌状態で肋軟骨組織を取り分けた後、酵素消化により軟骨細胞を分離培養する方法を示した。
(スタートから03:46まで)

2)
次いで、得られた細胞を培養皿に播種して細胞が増殖して細胞外基質を産生・蓄積する様子を位相差顕微鏡下に微速度撮影した。(03:47から08:34まで)このように培養された軟骨細胞の倍化時間は、36時間ほどである。コンフルエントに達した培養皿を固定後トルイジンブルー染色して、その異染性により軟骨型プロテオグリカン産生を確認できる。

3)
ディフュージョン・チャンバー(diffusion chamber)に封入した培養培養軟骨細胞を動物の腹腔内に移植して、内軟骨性骨形性能を調べた映像。(08:35~10:13まで)ここでは参考文献にある通りに培養ラット軟骨細胞を同系のラットの腹腔に移植した。

4)
移植6週間後にディフュージョン・チャンバーを回収して、内部に形成された組織をフォルマリン固定・脱灰・脱水後、パラフィン切片を作成してヘマトキシリン-エオシン染色により観察した。封入された培養軟骨細胞はチャンバー内で増殖・分化成熟した。(10:14~10:27まで)

5)
一方、封入された軟骨細胞が増殖してチャンバー内で一旦軟骨組織を形成した後に、ミリポアフィルターが破れて小さな穴(←で示した)があいて腹腔内の血球系細胞が侵入すると軟骨組織内部に新たな骨組織が形成された(10:28~10:46まで)発達した骨髄腔の形成も認められた。即ち、チャンバー内に形成された軟骨組織内に骨形成が誘導された。次に、ラットの大腿骨から骨髄細胞を分離して、成長軟骨細胞とともにチャンバーに、途中でフィルターに穴があかなくてもチャンバー内に広範な骨形成が認められた。

6)
典型的な内軟骨性骨形成の組織像。(10:47~終わりまで)肋軟骨・骨移行部のパラフィン切片を示している。上から静止軟骨細胞層・成長軟骨細胞層・肥大化軟骨細胞層が認識できる。下部より肥大化・石灰化軟骨層への侵入血管に先導されて骨への置換が起こっている様子が見てとれる。

監修

大阪大学歯学部生化学教授:鈴木不二男

参考文献

Shimomura Y, Yoneda T and Suzuki F. Osteogenesis by chondrocytes from growth cartilage of rat rib, Calcif Tissue Res, 19: 179-187
(1975)

撮影協力

(当時)大阪大学歯学部生化学教室助手:開祐司/山本-高野照子



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