日本の音風景100選から 四国編6話

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教育自然東京シネマ新社

作品概要

制作:東京シネマ新社 企画:日本ビクター 1998年 カラー 53分

(1)鳴門の渦潮
(2)阿波踊り 8:58
(3)大窪寺の鐘とお遍路さんの鈴 21:31
(4)満濃池のゆるぎとせせらぎ 31:38
(5)道後温泉振鷺閣の刻太鼓 38:43
(6)室戸岬御厨人室の波音 45:11

(1)鳴門の渦潮

渦潮が巻く鳴門海峡は、鳴門市と淡路島との間が約1.3キロの狭い瀬戸だ。この海峡を境として潮の干満により、瀬戸内海側と紀伊水道側の潮位に差が生じて、地形の複雑さの手伝って渦潮ができる。

潮流の速さは普通、時速13~15キロくらいだが春と秋の大潮時には時速20キロにもなり、ゴウゴウとうなる渦の直径が20mにも達するという迫力である。

昭和60年(1985年)には、鳴門海峡と渦潮をまたぐように、全長1629mの「大鳴門橋」が架けられた。この周辺は鳴門公園と呼ばれ、同6年(1931年)に「史跡名勝天然記念物」に指定、同25年(1950年)には「瀬戸内海国立公園」に編入され、観光地としても有名だ。(残したい日本の音風景100選から)

(2)阿波踊り

徳島で、毎年お盆の8月12~15日の4日間、盛大に開かれる阿波踊り。7月ともなると、400連を超える踊りのチームは、本番に向けての練習に余念がない。太陽が西に傾きかけると、徳島市内のあちこちから、阿波踊りの三味線などのお囃子がリズミカルに聞こえてくる。

華麗でしなやかな女踊りや、力のある勇ましい男踊り、大人も顔負けの子供たちの元気な踊りなど、町はにぎやかに真夏を迎える。

ずっと古くから見慣れた風景、耳になじんだ太鼓や三味線の音色、徳島の人々にとって、ほかの何よりも夏の訪れを感じさせるものがこの阿波踊りである。(残したい日本の音風景100選)

(3)大窪寺の鐘とお遍路さんの鈴

四国霊場八十八か所めぐりは、お伊勢参り、熊野詣でなどともに、江戸時代の庶民にとって大きな楽しみだった。今も白装束に菅笠、金剛杖を持ったお遍路さんが行く姿は四国路の風物詩だ。

阿波・土佐・伊予を経た四国遍路は、讃岐から「涅槃の道場」と呼ばれ、山ふところに抱かれた大窪寺が八十八番最後の霊場となっている。参道に点在する遍路の供養墓に手を合わせながら、険しい山道を歩き続け「りーん、りーん」と鳴る鈴の音は、ようやく結願の大窪寺へたどりつく。

満願の喜びを胸に、山門の鐘を打てば「ごーん、ごーん」と山々に心地よく響き渡る。清らかな音が、長く尾をひく長尾の町である。
(残したい日本の音風景100選)

(4)満濃池のゆるぎとせせらぎ

 

(5)道後温泉振鷺閣の刻太鼓

午前6時30分、道後温泉本館から威勢のいい太鼓の乱れ打ちの音が聞こえてくる。そして、開館を待ちかねた人々が朝湯につめかけて、あたりは活気づく。

日本最古の道後温泉は、全国でもベスト10に数えられている名湯だ。その昔、一羽の傷ついたシラサギが湯につかって傷を治したことから、湯治場として知られるようになった。さらに、夏目漱石著「坊っちゃん」が、決定的に道後を有名なものにした。

街は多くの宿が立ち並び、中心的な存在が、古風な明治建築の道後温泉本館だ。その屋上にある太鼓楼・振鷺閣が、明治27年(1894年)から道後の朝を告げてきた。あとは正午に12回、夕方6時に6回太鼓を打ち鳴らして時を告げている。(残したい日本の音風景100選から)

(6)室戸岬御厨人室の波音

高知県の東南端に位置する室戸は昭和2年(1927年)、
日本八景の1つに選ばれた。

岩礁に砕け散るダイナミックな荒波、一面に漂う潮の香り、どこまでも高くどこまでも青い南国的な空。アコウ・アオギリ・ハマユウなど亜熱帯植物群落の自然美は、まさに南国土佐にふさわしいところだ。

御厨人窟は室戸岬の先端にあり、目の前には壮大なる太平洋が一面に広がっている。御厨人窟の中では、岩に砕ける波の音、海底から聞こえてくるような地響きにも似た音が響き、まさに大自然の力強さを感じずにはいられない。

1,200年前、弘法大師空海が悟りを開かれたのも、
この豪快で厳しくも美しい自然があったからであろう。
(残したい日本の音風景100選から)



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