1000作品公開に当たって -4-

昭和町風土伝承館杉浦醫院 館長 中野良男

昭和町風土伝承館杉浦醫院 館長 中野良男

昭和町風土伝承館杉浦醫院

 

科学映像館の久米川先生との出会いは、当館のメインテーマでもある「日本住血吸虫症」の映像資料を収集していく過程からでした。それは、制作した山梨県にも保存されていないという幻の映画「人類の名のもとに」を入手したい旨、久米川先生にご相談したのが始まりで、不躾な電話相談にも快く対応いただく中で、先生と取引のある制作会社の倉庫で埃を被って眠っていたフィルムが発見されました。それを先生のご尽力でデジタル化し、当館にご寄贈いただくという幸運なご縁でした。以来、科学映像館の充実した取り組みについて、久米川先生からその運営の詳細やご苦労まで伺い、当館への有意義なアドバイスまで頂戴して今日に至っています。

久米川先生が孤軍奮闘して次々に貴重な映像をインターネット配信している「科学映像館」の存在を知れば知る程、当館のように展示施設を有する博物館や資料館の存在意義も問われかねないと危機感を抱いた自分を昨日のように思い出します。それは、科学映像館がインターネットの普及とその可能性について、先駆的かつ見本のような展開をされている実態を目の当たりにしたからに他なりません。

6年前には、先生の運転で奥様共々ご来館いただき、私どもには気も付かなかった細かな改善点もご教示いただきました。

今後とも末永くご指導いただけますよう先生ご夫妻のご健康と益々のご活躍をご祈念申し上げ、お礼方々お祝いのご挨拶とさせていただきます。

 

徳島県美馬市前文化協会 会長 佐藤一夫

徳島県美馬市前文化協会 会長 佐藤一夫

徳島県美馬市前文化協会
会長
佐藤 一夫

 

40~50年前、私が手塩にかけて撮り貯めた8mmフィルムは、システムの進化とフィルムの劣化によって、その後、二度と日の目を見ることはなかった。ここに思わぬ幸運が訪れた。「NPO法人科学映像館を支える会」理事長の久米川先生(美馬市出身)との出会いである。美馬市の文化祭にお招きし、久米川先生に「NPO法人科学映像館設立への想い」についてお話をいただいたのである。

その後、フィルムのデジタル復元の専門企業「東京光音」をご紹介いただき、手元の作品から数本を選び復元をお願いした。その内の一本「手延べそうめん」は、劣化が激しく、数か月後に修復され、しかも修復作業の映像付きで届いた。私の8mm映画はすべて科学映像館で公開された。そのおかげで新聞に紹介されたり、「和傘の里」はNHKの「おはようニッポン」で二次使用されたり、地元ではいろんな反響を呼ぶことになった。しかも、私が徳島県庁土木部で設計、施工した日本で初めての長大橋の建設記録「名田架設工事記録」は国立国会図書館の納品作品にも加えていただいた。現在、約30作品が科学映像館で公開していただいている。

久米川先生との出会いが映像制作再挑戦への切っ掛けとなり、90歳をすぎた今日でも、4Kカメラによる撮影、編集と楽しい日々を送っている。多くの貴重な作品をいつでも、どこでも、誰でもが自由にみられる科学映像館の発展を見守りたい。

 

株式会社オール アーカイブ担当者 永田聡

株式会社オール アーカイブ担当者 永田聡

株式会社オール
アーカイブ担当者
永田 聡

 

科学映像館創設11周年、そして1,000作品公開達成、本当におめでとうございます。これらの業績は、ひとえに久米川理事長のご尽力の賜であり、改めて深く敬意を表します。

オールと名を変える以前、わが日映科学映画製作所では数百本に上るフィルム映画を作ってきましたが、手元に残ったフィルムはわずかに数十本でした。その、社の倉庫で眠るばかりのフィルムたちが、科学映像館で配信していただいたおかげで、DVDリリースの機会を得たり、番組制作の映像素材として声がかかるなど、陽の目を見ることが出来ました。先達の業績に光が当たるというのは、後輩にとって実にうれしいことでした。

フィルムの保存や活用、という点では、科学映像館以外にも取り組み事例はあります。しかし、インターネットで作品全編を無料視聴出来るというのは他に例がなく、真に民主的で世界に向けて開かれた、文化保存・活用事業といっても決して大げさではないと思っております。

これまで11年の歩みは、先駆者のならいでご苦労が多々あったものと推察します。今後もますます、とまでは申しません。ゆるゆるとさらなるご発展を続けられますよう、ご期待申し上げます。

 

福岡市 日浦矯正クリニック 日浦賢治

福岡市 日浦矯正クリニック 日浦賢治

福岡市
日浦矯正クリニック
日浦賢治

 

科学映像館が発足してから1000作品目の配信、誠におめでとうございます。11年間で1000作品は2日から3日に1作品のペースでの配信となり、理事長の久米川正好先生の行動力にはいつも驚かされると同時に、私の日々の診療の活力にもなっています。配信された作品はどれも素晴らしく、その分野の広がりは、閲覧者の増加と配信の継続に結びついています。理事長をはじめ科学映像館の方々に敬意を払うと共に、日々の努力の成果と拝察いたします。

久米川先生からお話をうかがい、私はアーキビストという専門職があることを初めて知りました。アーキビストとは、確実な過去の記憶として永続的な価値を持つ記録を保存し、その記録の中から、その人が必要とする情報を見つけ、その情報の理解を手助けする者と記されていました。アーキビストの分野で著明な先駆者はSirの称号を与えられており、ヨーロッパ諸国、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどには大学院や国立アーキビスト養成学校が存在します。しかし、日本ではアーカイブズに対する認識の低さから、資格を定める法律もなく、社会にも浸透していません。

作品から得られるもののほかにも、科学映像館の存在意義はあるようにも感じます。これまでの経験をもとに、科学映像館の益々の発展をご期待申し上げます。

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