1000作品公開に当たって -5-

テレビ朝日映像株式会社 矢部和広

テレビ朝日映像株式会社 矢部和広<br />

テレビ朝日映像株式会社
アーク放送センター
ビジネス総局総合プロデューサー
矢部 和広

 

私は、人生100年時代について色々な所でお話しをさせて頂いています。自分の人生が100年と考えれば、今の生活設計では成り立たなくなります。60や65歳で定年退職をして、そば打ちや陶芸にと生活していても人生100年時代となると、新たな考え方が求められ、そして、まだまだやらねばならないと言う気持ちが湧き起ってくるに違いありません。人生100年時代到来には、短命の原因となっている病気の多くがIPS細胞治療や科学技術の発展によって今後10年から20年には実用化され治療が確立されると考えられているからです。これからは国のシステム(社会保障を含め)全体的に考え直さなければなりません。何しろ人口から経済まで右肩上がりのシステムでは国は成り立ちません。今後は経済一辺倒ではなく精神文化にも重きを置いた時代を構築していかねばなりません。そのような中、科学映像館の所蔵作品が1000作品を越えたこと、それも著作権フリーで閲覧できることは新時代の精神文化を先取りと言っても過言ではないと思います。私は、版権ビジネスの一貫にかかわってきました、久米川先生の行動力には頭の下がる思いです。

 

株式会社東京光音 松信秀明

株式会社東京光音 松信秀明

株式会社東京光音
フィルム/ビデオ/サウンド/
デジタル修復復元センター 所長
松信 秀明

 

配信映像1000作品目の公開達成おめでとうございます。また、記念すべき1000作品目のデジタル化作業を担当させて頂きましたこと、たいへんな名誉であると当社スタッフ一同感謝申し上げます。

映画フィルムの劣化問題は年々深刻になっています。貴重なフィルム映像資料を残すためにはデジタル化を行う他方法が無いのが現状です。ですが、映画フィルムのデジタル化にはもう一つの重要な目的があります。デジタル化技術の進歩によりフィルムの映像をビデオに変換するテレシネに比べ、最新のデジタル技術であり現在主流になりつつあるフィルムスキャニングは、はるかに鮮明な映像としてフィルムから映像情報を引き出す事が出来るようになりました

これは単に映像の鮮明さや画質の良さだけではなく、フィルムに記録されている映像情報を正しく引き出して残すという意味でたいへん重要な事です。ビデオ画質レベルでは不鮮明であった映像内の文字情報がはっきりと読み取れるようになるなど、デジタル化技術の進歩により映画フィルムの資料としての価値も再認識されています。

また、映画フィルムのデジタルアーカイブの重要な目的として忘れてはいけないのが公開するということです。鮮明で高画質な映像として復元できたとしても、そのまましまってしまったのでは意味がありません。必ず権利関係をクリアすることが前提となりますが、映像を広く公開し、多くの人が楽しみ、学び、考えながら視聴されてこそ映像デジタルアーカイブ本来の目的が達成されると私共は考えています。

貴重な映像資料を残す、映画フィルムに記録されている映像情報を正しく残す、広く公開する。映像デジタルアーカイブにおいて重要と考えるこの3つが実現されている科学映像館はたいへん心強い存在であり、日々、劣化フィルムのデジタル化という困難な作業に立ち向かっている私共にとっても、やりがいという達成感を与えてくれるたいへんありがたい存在でもあります。

これまで数多くの作品の高画質デジタル化作業を担当させて頂きましたが、今後も1作品でも多くのまだ世に出ぬ作品を含め未来に残していくべき作品たちを、科学映像館と共に世に送り出せるよう努めてまいりたいと思っております。引き続き科学映像館へのご支援をよろしくお願いいたします。

 

城西大学医療栄養学科教授 真野博

城西大学医療栄養学科教授 真野博

城西大学医療栄養学科
教授
真野 博

 

科学映像館1,000作品配信おめでとうございます。
約11年間で1,000作品ということは、毎週1作品以上の配信。大変なご苦労とご尽力だと思います。

さて、私の個人的な思い出ですが、何と言っても東日本大震災前日、国立国会図書館と科学映像館が連携するための打ち合わせに「NPO法人科学映像館を支える会」久米川理事長とご一緒にさせてだいたことです。その後、国内外の研究者やマスコミが、科学映像館の「福島第一原子力発電所」の映像に多数アクセスすることになりました。また、これに関連して、国外の日本文化研究者が科学映像館に収蔵されている「日本人の暮らし」に関する作品に注目していることをハーバード大学ライシャワー日本研究所所員の方から伺いました。

私の専門は「食品機能学」です。科学映像館の「生命科学」、「骨」、「医学•医療」、「食品科学」に関する作品を中心に大学の講義や実習において活用させていただいています。「発見」を意識した歴史的な作品が多く、将来、学生自身が何かを「発見」したいという刺激になっていると感じています。

私の恩師の恩師である民俗学者 宮本常一先生は、普通の人々の暮らしを多数の写真として残しました。今では、書籍や資料館で高く評価されていますが、当時はみむきもされない普通の庶民の生活の写真でした。科学映像館におかれましても、今後、多数の作品の配信をお願いいたします。科学映像館に収蔵されている作品は、将来、益々高く評価されることになると確信しています。

 

NPO自立化支援ネットワーク理事 東川征夫

NPO自立化支援ネットワーク理事 東川征夫

NPO自立化支援ネットワーク
理事
東川 征夫

 

1000作品公開おめでとうございます。心からお祝い申し上げます。科学映像館活動10年の歩みを拝見いたしますと、大変なご努力をされ1000作品の公開に至ったことがよくわかりました。

私が「科学映像館」を知ったのは、2013年10月のことです。川越在住の友人から「NPO法人科学映像館の事務所が川越にあり、貴重な映像をたくさんネット公開している」と聞き、さっそくアクセスし公開映像を見ました。先人が各分野で活躍され取り組んだ仕事の貴重な記録映像がたくさん公開されていて驚きました。

後日、私の所属する「NPO自立化支援ネットワーク(シニアドさいたま)」での講演をお願いするため、事務所となっている理事長の久米川先生のお宅をお尋ねしお願いいたしましたところ、快く引き受けていただき、11月にさいたま市の公共施設で「貴重な科学映画や記録映画を消滅させないための保存活動と、デジタル化した映像のインターネット上への無料配信」と題して映像を含めご講演いただきました。参加した方々は皆初めて科学映像館を知り、大変感動していました。私も時々科学映像館をネット訪問しています。

物作り日本の原点と言うべき映像記録もたくさんあり、それぞれの分野における先人の汗の結晶が現代に引き継がれ発展してきているのではないかと思います。
この1000作品は国の貴重な財産です。しかるべき行政機関が保管提供し、後世に伝えていくべきだと願ってやみません。

 

熊本市在住 佐伯勝利 

科学映像館様が国内外へ重要な記録映像をネット配信開始され、その数は既に1000本を数えたとのこと、ご同慶の至りです。

数年前、配信されている映画「山のこだま」をネットで視聴した時は驚きました。何と、昭和32年、私が中学3年生の時、音楽の新任教師として着任された恩師・福島眞也先生が主人公として描かれたドキュメンタリー(16ミリ映画)だったのです。
 
早速、恩師の出身地、人吉市で週刊情報誌を発行されている知人へ電話し、福島先生の現況をお尋ねしました。数日後、お元気とのお知らせに小躍りして喜びました。幸いにもフイルムからテレシネされたDVDを先生の息子さんが保管されていらっしゃいましたので拝借する相談も順調に進みました。
 
すぐに故郷の天草に帰省し、同級生らと恩師の映画鑑賞会を開催しようと呼びかけ、後輩からも 賛同者が現れ、更に東京、中京など県外からも多数の参加希望があり、天草へ恩師を招いての映画鑑賞&校歌合唱を楽しく開催できました。また、恩師がお住いの人吉市でも同様の映画鑑賞会を開催出来ました。

このような素晴らしい思い出が企画実行できたのは、ひとえにNPO法人科学映像館の活動のお陰でございます。これからも益々映像配信の活動が広がりますよう祈念して甚だ簡単ですがお礼とお祝いといたします。なお、当時の熊本日日新聞と週刊ひとよしの2社が感激の報道をしていただきました。その記事の切り抜きを添付させていただきます。

『FB久米川正好のよきとも。貴重な映画の紹介者(紹介作品10数本)であり、またときにきびしく、ときに温かいご意見を。』

新聞記事(Facebook)
https://www.facebook.com/messages/t/katsutoshi.saeki.77

 

株式会社東京光音 松井大貴

株式会社東京光音 松井大貴

株式会社東京光音
フィルム/ビデオ/サウンド/
デジタル修復・復元センター広報担当
松井 大貴

 

私が科学映像館を知ったのは大学生の頃です。当時は「68の車輪」が話題になっていました。1960年代のドキュメンタリー映画がインターネットで、さらに無料で見ることが出来る事に驚き感動しました。

その頃はまだ作品数も少なかったですが、ドキュメンタリー映画に魅せられ、大学でドキュメンタリー映像を学び、制作していた私としては、ドキュメンタリー映像とは「どのように撮影をするものなのか」,「編集はどうしたらいいのか」などのノウハウを科学映像館で公開されている映画から学びました。それは同時に私にとって「昔の映像」に対する興味、好奇心を高く持つこととなります。

将来は「昔の映像」にかかわる仕事に就くという目標を強く持ち、大学卒業後、フィルムからのデジタル化を行っている東京光音に入社することになりました。入社後、科学映像館で公開している作品のデジタル化が東京光音の仕事だと知った時はたいへん驚き、奇跡的な運命の出会いとさえ感じました。

学生時代から親しんで視聴し、今や仕事でも関係性の深い科学映像館。自分の人生の中で科学映像館を知った事はひとつの転換点だったのかもしれません。

映像公開1000作品を迎え、誠におめでとうございます。今後とも「昔の映像」で沢山のことを学んでいきたいと思っています。

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